変わらずS級な「B級」っぷりが素晴らしい(The Prodigy)

今回語る好きなバンドは、イギリスのエレクトロニック・バンドのThe Prodigy(ザ・プロディジー)です。彼らはキャリアも長いし、知名度もあるので、私がとやかく説明する必要はないでしょうが、もしご存じない方は Wikipedia をご参照ください。

私が The Prodigy を知ったのは、同じくイギリスのレーベル XL RECORDINGS のコンピレーション・アルバム「XL RECORDINGS REMIX CHAPTER」(1992年)に収録されていた「Everybody In The Place」がきっかけでした。


当時はレイヴ文化が勃興していて、ヨーロッパ発のダンス・ミュージックの潮流の端っこが日本にも到達していた頃でした。そして同時期に、友人にダンス・ミュージックのアレコレを教えてもらったのが、音楽に大ハマリするきっかけとなりました(その友人とは今でも親交があります。頭が上がりません)。
話を戻して、その頃に日本に到来したレイヴ文化のメイン・ストリームと言えば、下世話で派手なサウンドのものでした。90年代に青春を過ごした方には「ほら、ジュリアナ東京とか」と言えば分かりやすいかも知れません。バブリーな印象のアレです(代表的な曲としてT99の「Anasthasia」(1991年)が挙げられます)。そんな中に The Prodigy もあり、中でも彼らの曲は分かりやすいブレイクビーツとポップさで一際目立ってましたが、「ちょっと良いかもな」ぐらいな感じでしか受け止めていませんでした。


しかし、彼らの2ndアルバム「Music for the Jilted Generation」(1994年)に収録されていた「Voodoo People」を聴いた時、その強烈なブレイクビーツに圧倒され、一気に虜となりました。


同アルバムに収録されていて大ヒットした「One Love」「No Good (Start The Dance)」もすぐに大好きになりました。

この頃のブレイク―ビーツ系ダンス・ミュージックの時代背景としては、レゲエの一派生であったジャングルがドラムンベースへ進化し、後のLTJブケム辺りの LOGICAL PROGRESSION 一派なんかの上品な方向へ一気にシフトしつつあり、それが個人的には「嫌いじゃないけど、なんか物足りない」と思い始めていた頃でした。
いえ、実験性と享楽性を兼ね備えたブレイクビーツの使われ方をした曲が当時全くなかったというわけではなく、例えばイギリスのレーベルWarp Record や、ベルギーの Apollo Records 辺りがそれらを頑張ってリリースしていて、それは非常に好んで聴いていました。しかしいかんせんそれらのリリース量は少なく、これも少々寂しく思っていたところだったので、The Prodigy のIQの低いブレイクビーツサウンドが私のハートをその毛むくじゃらの手でわしづかみしてくれたのでありました。


3rdアルバム「The Fat of the Land」(1997年)では、「Breathe」「Narayan」「Firestarter」、そして同時期リリースのシングル「Firestarter」に収録の「Molotov bitch」が好きです。


このアルバム辺りから、作風が遅めのテンポでロックに寄ったサウンドになっていきました。当時、主要メンバーのリアム・ハウレットが何かのインタビューで「The Chemical Brothersを聴いて、BPM(テンポ)が遅くても強力なビートが作れることが分かった」と言っていたような記憶がありますが、このように彼らは、良く言えば時代性に敏感に、悪く言えば流行りモノを貪欲にむさぼっていくスタイルで、その地位を確固たるものとしたのでしょう。

ちなみに、ベスト盤「Their Law: The Singles 1990–2005」(2005年)に収録の「Voodoo People (Pendulum Remix) 」のPVは、モロに名作映画「10億分の1の男」をパクっています。この姿勢の善し悪しはさておくとして、彼らのスタイルの一端を表していると思います。
しかしこのPendulumによるリミックスは最高です。オリジナルを越えるかも知れません。本当に素晴らしい。


4thアルバム「Always Outnumbered, Never Outgunned」(2004年)では、「Spitfire」が比較的好きです。


Wikipedia にはこのアルバムの説明として、以下のように書かれています。

「前作の延長線上、焼き直し」とメディアに袋叩きにされ、この方向性に疑問を感じたバンドは、当時半分以上完成していた4枚目のアルバムの為の曲を全て廃棄し、真の4枚目のアルバムを一から作り直し始めた。

しかし私は、4thアルバムは純然と3rdアルバムの延長線上にあるものだと感じています。


5thアルバム「Invaders Must Die」(2009年)では、「Omen」「Colours」「Run with the Wolves」「Stand Up」が大好きです。特に「Stand Up」は、イギリスのロックバンド Primal Scream の「Loaded」(1990年)を思い出して、すごく懐かしく感じました。


そして2015年3月30日にリリースされた、現時点での最新アルバム「The Day Is My Enemy」では、「Nasty」「Rebel Radio」が好きです。特に「Rebel Radio」は、そのブレイクビーツに久々に魅了されました。


アルバム全体としては初期のレイヴ時代の感じがありつつ、時折チップ・チューン的なサウンドも少々織り交ぜた仕上がりとなっており、原点回帰と通常進化を同時に果たしているような印象を受けました。そして何より音圧がすごいです。「音圧競走の時代はもうすぐ終わる」と言われていますが、これだけやられたら素直にノリノリになるしかありません。

しかし The Prodigy のメンバー達も結構な年でしょうが、今でもこれだけテンションの高い曲を作り続けられるってのはすごいと思います。そして、ずいぶん偉い地位にいるにも関わらず、決して小利口にならずチャートの主流からは若干外れたスタイルを押し通し、それでいて商業的にきちんと成功できるのですから、ただただ尊崇するばかりです。

さて、最新アルバム「The Day Is My Enemy」に収録されている「Wall of Death」も下の動画の様に、とてもかっこいい曲です。


そして、これから書くことは甚だおこがましいとは重々分かっているのですが、何卒お許しください。
この「Wall of Death」、私が2004年に作った曲「Suspect’s vehicle is going south」にちょっとだけフレーズが似ているのです(本当にほんのちょっとだけですけど)。今の時代、音楽の構成要素はやりつくされているので、そりゃあ他者の曲と多少被るなんてあって当たり前ですし、そもそも「Suspect’s~」が昔のロック風なフレーズをエレクトロで模したものに過ぎないのですが、このささやかな偶然を心から自慢させていただきたいと思います。「ほらほら、The Prodigy の曲に似てるっしょ?」っつって。
しかし更に本音を吐露すると、実はとても悔しいのです。「Wall of Death」ほどかっこよく作れたらどんなに良かったか。The Prodigy と自分を比べるなんて不遜にも程があると痛いほど理解していますが、それでもやっぱり悔しい。あー「Wall of Death」、本当にかっこいいわー、チックショー。これが作れてたらきっと、モテモテになって宝くじも当たって持病も治って街を歩けばおばあちゃんに拝まれて一声あげれば米軍すら動かせる存在になれるんだろうな-。範馬勇次郎な感じになー。


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